クライミングと聞くと、高い壁や山の中の岩を素手で登っていくような…そんなイメージが浮かばれるかもしれません。2020年のオリンピック正式種目になったことで、注目度も高まるばかり。
でも、クライミングって何を競っているのって思いませんか?
そうですよね。なんとなく壁を登って、競争しているのかな…たしかに、パッと見ただけではわかりませんよね。今回は、そんなあなたの疑問にお答えしますね。
スポーツクライミングって何を競うの?
注目度の高まるスポーツクライミングですが、まだまだ一般的には浸透していませんよね。
私も最近ボルダリングを始めたのですが、周りの人にそんな話をすると、「ああ、オリンピック種目のやつだよね」っていう感じの反応が多いです。
それもそのはずです。実は競技自体の歴史も、まだざっくり30年ほどなんです。
1989年に開催されたワールドカップが、最初の国際規模の大会だそうです。
スポーツクライミングの種目は3つ
クライミングの中でも純粋にスポーツ性を強調したものが、「スポーツクライミング」と言っているものです。
国際クライミング連盟が認定する公式の競技会で行われているのは、以下の3つの種目です。
- リード種目
- ボルダリング種目
- スピード種目
簡単に何を競うかと言いますと、リードは到達した高さ、ボルダリングは完登した課題の数、スピードはゴールまでの速さを競うのです。
見た目にはこの3種目の違いが分かりにくいですが、何を競っているのかだけでもわかると、競技を観戦していても何に周りがエキサイトしているのかが感じられますよね。
オリンピック種目はクライミング複合
オリンピックでは前述した3種目を複合した、「コンバインド」という採点方式となります。
高さと、完登した課題の数と、速さと…いったいどうやって複合するのって思いませんか?
そうですよね。私も最初は複合の意味がよく分かりませんでした。
イメージしやすいのは、フィギアスケートの男女シングルの種目のように、ショートとフリーの点数の合計で順位が決まるという採点方法は分かりやすいですよね。
ではスポーツクライミングの順位はといいますと、3種目の順位を掛け算した複合ポイントで決まり、そのポイント数が小さいほど上位となります。
…え?掛け算なの?って思われましたよね。具体的には…
3種目すべてにおいて6位のA選手と、1種目は1位で残り2種目は13位のB選手がいたとします。
A選手のポイントは6×6×6=216ポイント、B選手のポイントは1×13×13=169ポイント、となり順位はB選手が上位となります。
この算出方式を知りえただけでも、あなたは十分スポーツクライミングに精通されていますよ。
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スポーツクライミングに世界記録はある?
さぁ、スポーツクライミングに詳しくなったところで最初の疑問にやっとお答えする事が出来ます。
お待たせしました!でもここまで記事を読んでいただけたあなたなら、お分かりですね。
そうです、スポーツクライミングで世界記録があるのは、速さを競うスピード種目だけなのでした。
スピード種目は高さ15mの壁をその名の通り、いかにはやく駆け上がることができるかをコンマ数秒で競い合う、他の2種目とは一線を画す種目と言えます。
まるで陸上競技のようですよね。
日本では2020年のオリンピックでスピード種目が行われることを受けて、2016年頃から国際規格を満たすスピード競技用の壁が出来始めて、選手の経験も浅いような種目です。
なんと、男子選手では5~6秒台、女子選手では7~8秒台で登ってしまうんです。
実際に世界選手権などを見ると、スパイダーマンかのようですよ。
スピード種目の世界記録・日本記録
いかがでしょうか。スピード種目の記録って冷静にみても凄まじいですよね。垂直の壁を10秒以内で登るなんて、全く想像がつきません(笑)
では最後に、そんなスピード種目の輝かしい記録をご紹介します。
男子の世界記録はイランのレザー・アリプアシェナ選手の5.48秒(2017年クライミングワールドカップ)、女子の世界記録は中国のソン・イリン選手の7.10秒(2019年クライミングワールドカップ)です。
…うーん。いまいちすごさが伝わらないですよね。
▼イランのレザー・アリプアシェナ選手
出典:CLIMERS
▼中国のソン・イリン選手
出典:CLIMERS
ちなみに陸上で有名なウサイン・ボルト選手は100m9.58秒という世界記録をもっています。
素人の私の目分量で大体、ボルト選手が100m走っている間にスピード種目の選手たちは15mのホールドのついた壁を登り切っているということになります。
…少しは凄さが伝わっっていると嬉しいです。
はい。そんなすごい選手が日本にももちろんいらっしゃいまして、男子では楢﨑智亜選手が6.159秒で日本記録(2019年世界選手権)を、女子では野中生萌選手が8.432秒(2019年ワールドカップ)で更新しています。
▼楢﨑智亜選手
▼野中生萌選手
正直、スピード種目での世界との差は1秒と少しあって、これは決して簡単な差ではないです。
しかし、オリンピックではコンバインドでの採点とあって、長所を生かし切った選手ほど表彰台へより近づけるので、期待しましょう!ますます目が離せませんよ。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
あなたがスポーツクライミングについて一段と詳しくなれたな、と感じていただけたなら幸いです。
是非この記事を参考に、一緒にクライミング観戦を楽しみましょう。
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